初日だから必要な説明を受ける程度だろうと考えている人も中にはいるかもしれませんが、学科や実技も入校初日から開始する事になります。
合宿免許の入校初日には何をするのか
まず入校初日の午前中には入校手続き、宿泊施設の案内、技能教習や学科教習に関する説明があります。教習はどうやって受ければ良いのか、一日のスケジュールはどのようにして進んでいくのか、毎日の流れを入校初日に教えてもらいます。技能教習には学科と実技がある事や、一段階と二段階に分かれている事、検定試験がある事など、教習に関する基本的な説明もしてもらえるので初めての人でも何も問題ありません。その他にも合宿免許に参加する上でのルールや、教習所ごとに定められている規則など、注意事項に関する話もあります。次に運転免許取得して問題ないか視力検査、適性検査、簡単な運動能力の検査が行われます。そして昼食を取った後は、いよいよ教習の開始となります。
視力検査について
入校初日には視力検査を行います。
運転免許を取得する上で最低限必要な視力が基準として定められており、運転免許の種類によってその基準は異なってきます。
視力基準
普通一種、二輪免許、大型特殊免許の場合
- 両眼が0.7以上、かつ、1眼がそれぞれ0.3以上であること
- 1眼の視力が0.3に満たない者、若しくは1眼が見えない者については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること
普通第二種、大型第一種免許、中型第一種免許(限定なし)、けん引免許の場合
- 両眼で0.8以上、かつ、1眼で、それぞれ0.5以上であること
- 深視力は三桿法の奥行知覚検査器により、2.5メートルの距離で3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下であること
原付、小型特殊の場合
- 両目で0.5以上であること
- 片目が見えない場合、見える方の視野が左右150度以上で、視力0.5以上であること
大型免許などの深視力検査とは?
大型、中型、準中型、けん引免許や二種免許を取得するためには、視力検査以外に深視力検査が必要となります。この検査では、物を立体的に見るための力や遠近感覚が正常に備わっているかどうかを調べます。検査機器より2.5m離れた位置で測定します。検査機器内に見える3本の棒の内、真ん中の1本の棒が前後に動き、3本の棒が一列に並んだ時点でスイッチを押します。前後2cm以内の範囲が合格範囲とされています。3回検査し、その平均誤差が2㎝以内であれば、合格となります。また、深視力計にはいくつかの種類があるそうで、検査機器より2.5m離れた位置で測定するタイプと、深視力計の中を覗き込むタイプなどがあるようです。
深視力検査で合格できない理由
- 目の病気などにより、片方の目の矯正視力が悪いため
- 左右の視力や矯正度数の差が大きいため
- 斜視などにより、両目で見ることができていないためなど
運転における深視力の重要性
視力には、静止している時の視力と動いているものに対する視力があります。通常の方でも、視力は動くものを見るとき低下するとされています。言い換えれば、車の運転時にスピードが上がれば上がるほど、ますます視力は低下してしまうのです。立体感や遠近感を把握するための深視力が衰えれば、走行中の距離感をつかみにくくなり、事故を起こす可能性が高くなります。現在、普通自動車免許において深視力の検査は行われてはいませんが、深視力と事故とは深い関係があるとされています。例えば、追突事故が多いドライバーは深視力に問題がある場合が多いといわれていますが、深視力の悪さの原因は乱視だけではありません。視力に問題がない場合にも、目に疲れがたまれば検査結果が良くないこともあります。
乱視だと深視力が落ちる
乱視の症状がある場合、遠近感や立体感を的確にとらえる感覚が弱いとされています。これこそは深視力と呼ばれるものにあたります。乱視は乱視でも、軽度であれば裸
眼でも簡単に合格することができると思いますが、乱視が強い方はしっかりと矯正を行わなくては合格することは難しいと思います。
万が一、視力が足りなかった場合は?
前日の夜更かしなどで目が疲れていると視力が落ちることがあります。また、近場の眼鏡屋に行って眼鏡やコンタクトを作る、眼鏡代やスケジュールの遅れは実費になりますので注意しましょう。検査の前日はしっかりと睡眠をとるなど目を休めて万全の体調で臨むように心がけましょう。
適性検査の内容
上で述べた視力検査のほかに、聴力検査、運動能力検査、K-2式またはOD式安全性テストが行われます。
聴力検査
入校の際の手続きでのやりとり、または視力検査でのやりとりなどで、話す・聴くということが滞りなく行えているかの判断をします。言い換えれば、日常会話が問題なくできていれば検査は合格ということになります。しかし、中には病気や事故などで聴力が少し弱いという方もいると思いますし、心配な方もいるかと思います。そういった時には、一度教習所に電話して確認してみることをおすすめします。
運動能力検査
運動能力の検査というと、何か大掛かりな印象をもつ方もいるかと思いますが、この検査はとても簡単な検査です。教官の指示に従って、指を折り曲げたり、足を屈伸したりといった運転に必要な最低限の動き、または認知ができるかをチェックするだけです。仮に何かしらの障害がある場合でも、補助手段を使用して支障がなければクリアだそうです。運動能力検査と聞くと、なんだかとても本格的なことをしそうなイメージがありますが、そんなことはありません。
適性検査
K-2式
ペーパー式の運転適性検査で、状況判断力、動作の正確さ、精神的活動性、衝動抑止性などを調べ、性格や気質を総合的に判定し安全運転管理に活用します。結果により教習生のタイプが分かり、それぞれの型による運転時の行動所見に指導、助言します。
OD式安全性テスト
1967年に開発された「OD式安全性テスト」。今では全国の自動車教習所で実施されています。
「OD式安全性テスト」は、“運動機能”、“健康度・成熟度”、“性格特性”、“運転マナー”の4つの観点から、その人の安全運転に関する適性を総合的に診断します。
検査結果は、「運転適性度」と「安全運転度」の総合評価から、大きく4つの運転タイプに分類、88の性格パターンとともにより効果的で教習生それぞれに合った教習指導の実現へと活かされています。
診断結果はレーダーチャートで表示されるので、視覚的により分かりやすく自分の能力を把握することができます。運転する上で自分に欠けている点などを客観的に捉えることができ、その後の教習に役立てられます。
入校日の学科と実技の内容について
教習は入校初日から始まりますが、ここでまず受けるのは学科1になります。これは先行学科とも言われ、必ず最初に受ける学科教習です。先行学科で学ぶ内容は道路交通法や運転する上でのモラル、標識、信号の種類など、運転免許を取るにあたって必要となる基本的な知識や考え方です。
次に、実技教習の一時間目はトレーチャーと呼ばれる模擬運転装置を使用して行われます。車の操作方法に関する基礎を模擬的に学ぶための教習です。車の動かし方の他、各装置の名称も教わります。
その後はいよいよ教習コースで運転技能を学びます。技能といっても初回は運転席やミラー調整やハンドルの持ち方、安全確認など車自体を知る内容になっています。
合宿免許の入校日を無事に迎えるための準備
予約をしても入校初日に教習できないケースがあります。
それは忘れ物と遅刻をした場合です。
合宿免許の予約が完了した後も、入校日を迎えるまでにやるべき事はまだ残っています。当日の集合場所はしっかりと把握できているのか、必要な持ち物は揃っているのか、事前に確認や準備をしておかなければなりません。
合宿免許は入校初日から決められたスケジュール沿ってどんどん進んでいく事になります。
そのため一度自宅に戻って、忘れもの取りに行っているような時間はありません。不備があった場合は入校手続きができなくなり、入校説明や最初の授業に間に合わなくなってしまいます。その結果入校できない場合があるので、準備は入念に行う必要があります。
持ち物で一番大切な書類は住民票(本籍地記載)と健康保険証などの本人確認書類です。中には本籍の書かれていない住民票を発行してしまう人もいるので、市役所の窓口では本籍地が書かれた住民票が欲しい旨をきちんと伝えましょう。
また、住民票を取る際には発行日にも注意しなければなりません。住民票とは原則的に、市役所に行けばその日のうちに発行できます。そのため入校日の前日に取ってくることも可能ではありますが、万が一のトラブルに備えて余裕は持っておくべきです。当日になっても用意できていないという事態を防ぐためにも、遅くとも入校の一、二週間前までには住民票を発行しておくと良いでしょう。
しかしその一方で、住民票は有効とされる期限を指定されていることが多いです。教習所や免許センターでも、大抵は発行した日から3カ月以内の住民票を要求されることになります。そのためあまりに早い段階で取りすぎてしまうと、住民票の期限が切れてしまうかもしれません。教習所によって案内は異なりますが、場合によっては住民票を取り直す事にもなります。住民票を取りに行くタイミングは遅すぎても早すぎても良くないので、自分で計画を持って用意するようにしましょう。
遅刻や忘れ物以外で入校できなくなってしまうケース
入校ができなくなる恐れのあるものとして、考えられるケースは二つあります。そのうちの一つ目は運転適性相談の必要がある人の場合です。
法律で定められた年齢に達した人であれば、原則的に運転免許は誰もが取得できるものです。ところが身体的な障害があったり精神的な症状を抱えていたりなど、場合によっては免許を取る事ができない人もいます。
体調面や身体上に出る症状の有無については、合宿免許の予約の時点で確認されるはずの事柄です。しかし自分自身の通院状況や身体的な問題などは、プライバシーにかかわる内容でもあるため知らない人には話しづらいと感じてしまう人もいるでしょう。
ですが予約の際に言うべき事を言いだせないまま入校しようとすると、せっかく訪れた教習所への入校が認められず、そのまま帰宅する事になってしまう場合もあります。そのため予約の時にはきちんと自己申告をしておくことが重要です。申告内容から必要があると判断されれば、運転免許センターにある適性相談窓口を案内してもらえます。
事前に適性相談を受けておけば、不安を一人で抱えてしまう事もありません。免許を取得する事に問題がないと分かった上で教習を開始できるので、安心して入校日を迎える事ができるでしょう。
また、二つ目のケースとなるのは交通に関わる法令違反がある人の場合です。たとえば過去に無免許運転をしてしまったり、免許の取り消しを受けたりした事のある人がこれに該当します。
免許が欲しいと思った時、すぐに免許の取得ができる状態であるかは人によって異なります。欠格期間が満了していない事に自分で気づいていない場合もあるので、十分に注意をしなければなりません。
運転免許の欠格期間とは、いつからいつまでは免許を取る事ができませんと言う期間の事です。自己判断で大丈夫だろうと思い込んでしてしまうのはトラブルの元となります。問題なくスムーズな入校をするためにも、教習所に伝える必要のある事は予約の時点で話しておきましょう。
このように合宿免許の初日には入校手続き、スケジュール説明、視力検査、適性検査だけでなく実技や学科教習も行われます。しかし住民票や本人確認書類を忘れたり、遅刻をしてしまうと当日入校できません。また病気の方や以前に法令違反があった方は運転免許センターで合宿免許に参加可能か確認する必要があります。
事前準備をしっかりして入校日を迎えましょう。