大型特殊自動車と聞いても、どんな車かピンと来ない人も多いのでは?具体的にどんな車なのか、大型特殊自動車免許で運転できる車種や取得方法(一発試験含む)の他、関連する作業免許についてまとめました。
大型特殊自動車とは例えばどんな車?
大型特殊自動車は、主に建設現場などで活躍しているブルドーザーやショベルカー、クレーン、さらには大型の除雪車なども大型特殊自動車にあたります。そうしたことから、一般の車とは全く異なる類のものだということはお分かりいただけるかと思います。ちなみに、トラクター(車両の長さ4.7m以下、車両の幅1.7m以下、車両の高さ2.8m以下、最高速度15km/時以下)は道路運送車両法においては「新小型特殊自動車」とされていますが、現在のほとんどのトラクターを運転する場合の必要な運転免許は大型特殊免許です。
大型特殊自動車免許で運転できる車
大型特殊自動車免許で運転できる車は、大型特殊自動車、原動機付自転車、小型特殊自動車の3種類になります。具体的な内容は以下の通りです。
大型特殊自動車
全長:12m以下
全幅:2.5m以下
全高:3.8m以下
最高速度:制限なし ※但し、時速49キロ以上は危険とされています。
排気量:制限なし
小型特殊自動車
全長:4.7m以下
全幅:1.7m以下
全高:2.0m以下※ヘッドガードを備えた場合は2.8m以下
最高速度:時速15km以下 ※農作業用は時速35km未満と定められています。
排気量:制限なし
原動機付自転車
排気量:50cc以下
大型特殊自動車免許の取得条件
年齢 | 必要な免許及び経歴 | 視力 ※矯正視力を含む。 |
---|---|---|
18歳以上 | 普通MT免許を取得していること | ・両眼で0.7以上 ・片眼で0.3以上(0.3未満の方は他眼で0.7以上、視野150°以上) |
大型特殊自動車免許の取得方法
大型特殊自動車免許は他の免許と同様に、教習所に通う(または合宿)ことで取得できるほか、運転免許試験場に直接出向いての一発試験でも取得することができます。
教習所の場合
・指定自動車教習所へ入校
↓
・適性検査(視力・聴力検査など)
↓
・第一段階:技能教習、学科教習
↓
・技能卒業検定
↓
・第二段階:技能教習、学科教習
↓
・技能終了
↓
・卒業検定(卒業証明書交付)
↓
・運転免許試験場での適性検査、学科試験
↓
・免許証交付
一発試験の場合
・受験申請
↓
・受験資格審査
↓
・適性試験
↓
・学科合格
↓
・技能試験
↓
・取得時講習
↓
・免許証交付
取得にかかる日数・料金
合宿免許の場合(那須自動車学校)
日数:合宿免許なら4日程度、通いなら自分と教習所のスケジュール次第
費用:普通免許(あるいは中型、大型など)を持っている場合は、89,100円(税込)R5.4.1現在
一発試験の場合
費用:受験手数料は2,600円、貸車手数料は1,450円、免許証交付手数料2,050円
[参照URL]
難易度は?マニュアルの運転方法を忘れていても大丈夫?
大型特殊自動車は、普通自動車など他の四輪車とは見た目が違いますが、運転の感覚も大きく異なります。しかし、ATが主流になっているため、MTの運転方法を仮に忘れてしまっていたとしても心配は無用です。最初は慣れないかもしれませんが、何度か運転をこなしているうちに大型特殊自動車独自の運転の感覚が身に付くでしょう。
大型特殊の他に、作業免許も必要って本当?
盲点ですが、大型特殊自動車免許を取得しただけでは現場で作業を行うことができません。大型特殊自動車免許により、大型特殊車両を現場まで走らせることはできますが、その先の作業には「作業免許」が別に必要となります。ちなみに、操作する車両によって必要となる作業免許も異なります(以下)。
- フォークリフトの場合:フォークリフト運転技能講習
- 移動式クレーンの場合①:移動式クレーン運転士免許実技教習
- 移動式クレーンの場合②:移動式クレーンにともなう玉掛け技能講習
- 小型移動式クレーンの場合:小型移動式クレーン運転技能講習
- 車両系建設機械(整地等)の場合:車両系建設機械(整地等)運転技能講習
- 車両系建設機械(解体用)の場合:車両系建設機械(解体用)運転技能講習
- 高所作業車の場合:高所作業車運転技能講習(作業床の高さが地上10m以上)
(注意点)
以上の作業を行う場合、それぞれに免許が必要となりますが、仮に無免許の状態で作業を行ってしまった際には、「罰金」が科せられます。また、無資格者を使った事業にも罰則が科せられるため、作業に該当する免許は必ず取得しておかなければなりません。
まとめ
一般的な四輪車とは見た目も運転方法も全く異なる大型特殊自動車。一見、運転は難しそうで、試験のハードルも高そうに感じてしまいますが、普通免許などを持っていれば短期間で取得できますし、AT操作が主流なのでMTの運転に自信がなかったり、忘れてしまったりしても心配することはありません。他の免許同様に合宿で取得したり、一発試験で受験したりもできるので、自身のニーズに合わせて最適な取得方法を検討しましょう。他の免許との大きな違いは、走るだけでなく作業も行うということです。そのため、作業免許が別途必要となりますので、必要な作業に合わせて取得することを忘れないように気をつけましょう。何よりも大型特殊自動車免許を取得すれば、活躍の場が増えますし、キャリア形成にとっても有利に働きます。